II-VI INFRARED:チュートリアル:偏光

チュートリアル:偏光

偏光

偏光は、あらゆるレーザービームにおいて重要かつ特別な光学特性です。ブリュースタ・ウィンドウ、円偏光ミラー、ATFRミラーは偏光の特徴を利用したものです。一方、偏光を無視した場合には、トラブルのもとになったり、予測できない結果を招いたりする可能性があります。実際には、全てのレーザー光源に何らかの偏光成分が含まれているため、この影響を理解することは、素子を適正に設計するために必要となります。以下の文章では、基本的な偏光の定義と、その最も一般的な種類について説明します。

光は、TEM波です。これは、電場と磁場のベクトルが、波の進行方向に対して垂直に向いていることを意味します。(図 1.)全ての電場ベクトルが与えられた波に対して1つの面をなしているとき、これを直線偏光と呼びます。この面の方向が偏光の方向です。

図1 偏光ベクトルの定義

無偏光とは、電場が全ての方向に均一に分布している波の集合体を意味しています(図 2)。それぞれの波が直線偏光であるとみなすことができるため、全ての波が平均的に集まり、偏光にこれといった方向性がありません。

図2 非偏光

ランダム偏光はその名の通り、直線偏光ではるものの、方向が一定ではなく時間と共に変化する光です。素子によっては偏光に対して敏感であるものもあり、ランダム偏光が光学システムにおいて問題を引き起こすことがあります。偏光状態が時間の経過と共に変化してしまうと、素子の透過率、反射率、吸収率などの特性も同様に変わってしまいます。

偏光とは、方向と振幅を合わせ持つベクトルです。全てのベクトルと同様に、任意の座標系において、直交成分の和として定義されます。図3に、座標軸に対して45度の角度を持った直線偏光を示します。この座標系において、xとy成分は等しくなります。もし、これらの成分に90度(または四分の一波長)の位相差を与えると、電場のベクトルの振幅は一定であるものの、方向が波の進行方向と共に変化するようになります。(図 4.)このような波は、偏光ベクトルの先端が定点を通って円を描くため、円偏光と呼ばれています。

2つの波の振幅が等しくなく、位相差が四分の一波長である場合、それは楕円偏光となります。偏光ベクトルの先端が定点を通って楕円を描きます。また、長軸と短軸の比を偏光の楕円率と呼びます。

垂直入射以外で使用する光学コーティングを注文するときは、偏光方向を必ず明記してください。光源の偏光状態をどう判断したら良いかわからない場合は、当社のアプリケーション・エンジニアまでお問い合わせください。

波は、元のそれに対し、互いに45度の角度を持つ、2つの等しい成分として解釈されます(図3)。これらの成分間に四分の一波長の位相差を与えた場合、増幅は一定のまま、偏光ベクトルが回転する波(図4)という結果を生みます。

光がビームスプリッターなどの光学面に垂直でない角度で反射するとき、反射及び透過特性は偏光に依存します。この場合、私たちが使用している座標系は、入射と反射光を含む平面として定義されます。この平面に沿った偏光ベクトルを持つ光はp偏光と呼ばれ、この平面に対して垂直に偏光が立っている光は、s偏光と呼ばれます。入射偏光の任意の状態は、s成分と p成分のベクトルの和として表現できます。

s偏光において、入射偏光は、入射と出射光を含む平面(カラーで表示)に対して垂直です。p偏光においては、入射偏光は、入射と出射ビームを含む平面(カラーで表示)に対して平行です。

s偏光と p偏光の重要性を理解するために、波長10.6umのsとp成分の光がZnSe面(単一面)に入射した場合の、入射角度に対する反射率特性を見てみましょう。s成分の反射が角度と共に増加するのに対して、p成分はまず67度で0となるまで減少し、その後増加します。このp偏光の反射が0になる角度をブリュースタ角と呼びます。この効果は、偏光素子を製造するためにいくつかの方法で利用されています。また、ブリュースタウィンドウのように、透過ロスのないアンコートのウィンドウとしても利用されています。

波長10.6um及びZnSeにおけるs及びp偏光の入射角度に対する単一面の反射率特性



偏光状態は、レーザ切断のアプリケーションにおいて、特に重要となります。レーザ切断に適した偏光を作り出す当社の円偏光ミラーを参照してください。